海外ビジネスこそスピード感に気を遣う!

暑かった夏が過ぎ、台風の通過と共に少しづつ風が涼しくなり、いよいよ秋本番ですね。

 

私は9月の半ばより、金属加工業を営むクライアントの海外進出を支援すべく、シンガポール及びマレーシアへ視察に行ってきました。

シンガポールに到着してまず「天気が悪いわけではないのに、何となく上空が霞んでいるな」と感じました。聞くところによると、ちょうど私がシンガポールに到着した2日前にインドネシアで森林火災があり、大規模なヘイズ(煙霧)が発生していたため、初シンガポールにして、最悪な時期にシンガポールに来たねと言われてしまいました。

 

実は、シンガポール、マレーシア(ジョホールバル)、インドネシアの3ヵ国は非常に隣接しています。

 

シンガポール⇔マレーシア(ジョホールバル)間の国境はわずか1km程度のジョホール・シンガポール・コーズウェイと呼ばれる橋1本で隔てられており、人もモノも全てこの橋を通過するため連日大渋滞となっています。

 

そして、両国は歴史的には元は同じ国家であり、1965年にマレーシア連邦からシンガポールが独立分離して現在に至っているのです。さらに、マレーシアのジョホールバル港⇔インドネシア領は船でわずか45分の距離です。

 

現在、アジア圏ではマカオに次いでGDP2位のシンガポールとその近隣に近年発展目覚ましく、豊富な若年層労働者を抱えるマレーシアにインドネシア。

また、現在建設計画は延期されていますが、クアラルンプールとシンガポール間を高速鉄道でつなぐ計画があり、実現するとクアラルンプール⇔シンガポール間約350Kmを最短90分で移動することが可能になるそうです。

 

今後、この周辺地域での人やモノ、お金、情報等の動きが更に活発になり、市場が大きく変動し、大きな経済発展が見込まれるのは必至ですね。

 

さて、今回は海外展開のビジネチャンスを求めにシンガポール&マレーシアを訪問し、実際に何社かと商談の機会に恵まれました。

ここで私は、実は結構なカルチャーショックを受けたのです。数年前と比べて、特にアジア圏のビジネスパーソン(特に責任者や役員レベル)の思考や仕事へのアプローチがかなり欧米化しているのです。

彼らのコミュニケーションの取り方は実に単刀直入で無駄がなく、そして高いリーダーシップや物事を見極める判断力が鍛えられているため、決断までのスピードが圧倒的に速いと感じました。

 

海外進出のビジネスチャンス、スピード感

 

逆に、「数か月前に商談した日本企業は、基本的なNDA(機密保持契約)でさえ社内稟議や確認等で締結するまでに時間が掛かるから、これではビジネスパートナーとして付き合えないし、ミーティングに費やした時間が無駄になる。なぜ日本企業は物事を決めるのにこれ程の時間を要するのか、私達は信用されていないのか?」とさえ問われました。

 

ここで改めて、日本のビジネスの常識やプロセスが海外では非常識であること、更に相手を不本意ながら不快にさせている事実に気付く必要があります。

 

そして、海外企業とのビジネスにおける時間に対する概念について考えたいと思います。

時間は有限です。

ミーティングの時間も、相手の貴重な時間を割いていると認識する必要があります。

 

そうすれば、限られた時間で最大限効率を上げようと考えるのは当たり前のことです。

ただ残念なことに、多くの日本人はこの時間に対する概念が少し欠けているのかなと感じます。

私達が何気なくやってしまう日本独特の配慮やおもんばかる文化から明確な意思表示や決断を避ける、または中途半端な態度を取ることは、相手の立場からすると生産性を下げられ、苛立ちが募り、結果一緒に仕事したくない相手になってしまいます。

 

今後海外ビジネスでは即断即決、簡潔明瞭なコミュニケーションを取ることがビジネスをスピードアップさせ、成功に導くために必要な要素だと考えます。

今後海外展開を目指される皆様におかれましては、是非ともこの点を普段から意識して頂きたいと思います。