輸出に関する法律や規制

海外展開の前に知っておくべき輸出に関する法律や規制

これから海外市場への展開を考えておられる皆様が最初にチェックしておくべきこと。それはこれから輸出しようとしている商品や技術、サービス等を国外に持ち出して問題ないのか、きちんと法律や規制を確認することです。法律や規制によっては国外に販売できない場合があるので、十分調査しておきましょう。輸出入禁止や規制品目を定めた法規制には、関税法や外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」という)、文化財保護法、植物防疫法などその他多くの法令があります。また、ワシントン条約やバーゼル条約、モントリオール議定書など、さまざまな国際条約でも輸出規制がされています。今回は、外為法において輸出管理の基本的な枠組みを規定している輸出貿易管理令に焦点をあてて説明いたします。

 

該非判定ってなに?

昨今の北朝鮮の核実験やミサイル発射、テロリストによる事件等にも見られるように大量破壊兵器や武器・弾薬などの拡散は大きな国際問題となっています。こうした中で、国際的な平和及び安全の維持を妨げる大量破壊兵器や武器・弾薬の開発や製造に関連する資機材や関連汎用品の輸出や関連技術の提供について、外為法に基づいて管理しているのが輸出貿易管理令です。輸出貿易管理令には「リスト規制」と「キャッチオール規制」の2つが含まれており、輸出しようとする貨物や技術が外為法の輸出貿易管理令別表1、別表2および外国為替令別表に該当するかどうかを判定することを該非判定といいます。また、規制品目に該当する貨物や技術を輸出する場合は、経済産業大臣の許可または承認を受ける必要があります。

【リスト規制】

リスト規制とは、大量破壊兵器や武器の開発等に用いられる恐れの高い貨物や技術をリスト化したものです。輸出貿易管理令別表第1の1~15項に該当する貨物や技術で、専ら貨物や技術の機能や性能(スペック)に着目した規制です。これらのスペックを満たす貨物や技術を輸出する場合は、用途や需要者、輸出国に関わらず全て経済産業大臣の許可が必要となります。海外の自社工場や日系企業への輸出等でも許可が必要となりますのでご注意下さい。また、リスト規制の対象となる技術には、技術資料やソフトウェアの提供、技術者の受入れや派遣を通じた技術支援等も含まれます。

【キャッチオール規制】

湾岸戦争後にイラクがリスト規制に該当しない製品を使用して大量破壊兵器の開発を行ったことにより導入され、専ら需要者や用途に着目した規制です。大量破壊兵器の開発等に用いられる「可能性のある」全ての貨物や技術が輸出許可の対象となります(但し、食料品や木材等は除く)。また、この規制は全ての国が対象ではなく、ホワイト国と呼ばれる国への輸出に関してはキャッチオール規制の対象外となります。また、用途としては、リスト規制の対象外ではあるものの、リスト規制品のスペックダウン品など大量破壊兵器等の開発に用いられる恐れが強い貨物(40品目)が挙げられています。需要者としては、大量破壊兵器等の開発の懸念が高い企業等を掲載した外国ユーザーリストがあります。

規制リストは、原則毎年部分的に改正されるため、常に最新のリスト(直近では2018年1月22日施行)をチェックしましょう。また、規制リストには一般的に使用されている名称で記載されていない場合もあります。例えば、GPSは「衛星航法システムからの電波を受信する装置」と定義されるようです…ややこしいですね。ただ、知らないうちに大量破壊兵器や武器の開発に加担していたなんてことの無いように事前にしっかり調査し、該非判定をする必要があります。

違反に対しては厳しい罰則等が設けられているので、法令解釈などに懸念がある場合は必ず経済産業省の安全保障貿易管理課(03-3501-2800またはwww.meti.go.jp/policy/anpo/)に問い合わせることをお勧めします。